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【国家総合職・外務専門職】憲法:子どもの憲法上の扱い(作成中)

Back Number のアリーナツアーのチケットを予約しようと思っていたら、予約早々一瞬のうちにSold Out でした。考えが非常に甘かったです。

問い

子どもは憲法上どのように位置づけられているか。具体的に説明した上で、その根拠と問題点について論じなさい。

 

論点)

(1)子どもの憲法上の取り扱い

    場合分け

   ① 必ずしも成人と同等の保障を受けない権利

   ② 成人と同等の保障を受ける権利

   ③ 未成年者にとりわけ保障される権利

  (2) 未成年者の心身の成熟度の個人差

  (3) 保護と自立との調整

 

論点について、書き進めていきます。憲法上の論点「未成年者と人権」の問題です。

(1)子どもの憲法上の取り扱い

   場合分け

   ① 必ずしも成人と同等の保障を受けない権利

   ② 成人と同等の保障を受ける権利

   ③ 未成年者にとりわけ保障される権利

①と②は、選択の自由が内実するか否かによって区分される。

①には、表現の自由、信教の自由、自己決定権が含まれるが、これらの権利の行使は一定の判断能力を前提としているため、必ずしも成人と同等に保障されるわけではない。

②には拷問および残虐刑の禁止、正当な補償を受ける権利などが含まれるが、判断能力とは無関係であるため、未成年者にも成人と同等に保障される。

③には、無償の義務教育を受ける権利、酷使の禁止等が含まれるが、これらの権利は 未成年者の成長可能性ゆえ、未成年者にとりわけ保障される。

 

ご参考)

憲法13条の幸福追求権の意義

<本質に関する人格的利益説と一般的自由説の対立>

1 人格的利益説(主要論者:芦部信喜佐藤幸治佐藤功、種谷春洋等)

「人権は、『すべての人間が、無条件にかつ不可変的に、等しく保持する、基本的な重要性を持つ種類の道徳的権利』と解したい。〈中略〉権利やルールが上から、例えば全能の主権者によって与えられる法体系のごときものを想定するのでなければ、法的・実定的権利の基礎として『道徳的権利』を想定しなければならないのではないか。」

佐藤幸治『現代国家と司法権有斐閣、496頁)

「前段の『個人の尊厳』原理と結びついて、人格的自律の存在として自己を主張し、そのような存在であり続ける上で必要不可欠な権利・自由を包摂する包括的な主観的権利である」(佐藤『憲法』第三版445頁)とした。さらに人格的自律を敷衍して「それは、人間の一人ひとりが”自らの生の作者である”ことに本質的価値を認めて、それに必要不可欠な権利・自由の保障を一般的に宣言したもの」(同448頁)

 より根元的な「『秩序ある自由の観念に含意されており、それなくしては正義の公正かつ啓発的な体系が不可能になってしまう』ものであるとか、『基本的なものとして分類されるほど、わが国民の伝統と良心に根ざした正義の原則』であると説かれ、どの権利が基本的であるかを裁判官が自己の個人的な観念に基づいて決める自由は存しない」

 芦部信喜、『憲法学Ⅱ』348頁より)

2 一般的自由説(主要論者:阿部照哉、内野正幸、阪本昌成、戸波江二等)

 「人間存在の特異性は、人格的であるとか、理性的であるとかいった、超越論的な共通点にあるのではない。人間は感じ方から生活様式まで、それぞれに異なって、独自的な存在である点に人間の特異性があるのである。法や憲法典の存在理由は、人間を人格的存在として平等に扱うことにはない。その存在理由は、各人が、有限知の中で、それぞれの個別性を基礎にしながら、自由にその自己愛を最大化できるよう共通の条件を整備することにある。」「自由の価値と意味は、自由が侵害されてはじめてわかる。自由は個別的に侵害されて、その姿を徐々に現すのである。」「憲法典の制定目的は自由の保障にある。」           (阪本昌成『憲法理論Ⅱ』成文堂、69~73頁)

※   人権のインフレ化に対する考え方

 1 人格的利益説からのアプローチ

「確かに幸福追求権という観念自体は包括的で外延も明確でないだけに、その具体的権利性をもしルーズに考えると人権のインフレ化を招いたり、それがなくても、裁判官の主観的価値判断によって権利が創設されるおそれもある。(改行) しかし、幸福追求権の内容として認められるために必要な要件を厳格に絞れば、立法措置がとられていない場合に一定の法的利益に憲法上の保護を与えても、右のおそれを極小化することは可能であり、またそれと対比すれば、人権の固有性の原則を生かす利益の方が、はるかに大きいのではあるまいか。この限度で裁判官に、憲法に内在する人権価値を実現するため一定の法創造的機能を認めても、それによって裁判の民主主義的正当性は決して失われるものではないと考えられる。こう考えると、幸福追求権の内容をいかに限定して構成するか、ということが重要な課題となる。」   (芦部信喜憲法学Ⅱ』341頁)

2 一般的行為自由説からのアプローチ

 「国家権力に対して個人の自由な領域を確保するという自由権の本来の意義に照らして、個人の自由な行動が広く保障されるとし、そして①人権保障の範囲を限定すると、実質的に人権保障を弱めることになる、②人格的価値に関わらない行為については、相対的に弱い保障を認め、緩やかな審査基準を適用すればよい。〈中略〉およそ、国家権力を制限して個人の権利・自由を擁護することを目的とする近代立憲主義の理念に照らせば、個人の自由は広く保護されなければならないと解される。散歩、登山、海水浴、自動車の運転など、たとえ個人の行為に人格的価値が認められない行為であっても、国家は正当な理由なく制限してはならないのであって、その意味で、憲法上の保護は個人の自由な行為に広く及ぶと解するのが妥当である。また、髪型や服装などの規制は、一般社会では本来許されないが、在監関係や学校関係では特別に制限されており、その場合に、それらの行為が憲法上保護されないとすることは、すこぶる不当であろう。」(戸波江二『憲法』新版176頁)

ご参考)

意見表明権児童の権利に関する条約 12条)

(英語)Article 12
1. States Parties shall assure to the child who is capable of forming his or her own views the right to express those views freely in all matters affecting the child, the views of the child being given due weight in accordance with the age and maturity of the child.
2. For this purpose, the child shall in particular be provided the opportunity to be heard in any judicial and administrative proceedings affecting the child, either directly, or through a representative or an appropriate body, in a manner consistent with the procedural rules of national law.